玉井でマンゴー狩り

午前3時すぎに私と夫はマクドナルドにいた。午前4時すぎのバスに乗るので、早い朝食を食べているのだ。マクドナルドを出ると、私たちはタクシーで友人Mのマンションに向かった。友人を拾い台北駅で降り、台南行きのバスに乗った。

朝9時の台南は暑かった。朝食を食べていないMの朝食を求め歩き回ったが、めぼしい店はなかった。私たちは台南駅の前でだらだらと汗を流した。
私と夫が今晩泊まる予定の台南大飯店というホテルがバス停の前で朝食を売っていた。友人はそこで朝食を買うことにしたようだ。私と夫も飲み物だけ買うことにした。本来は飲み物は単品で売らないそうなのだが、友人が買った割包(包子に肉を挟んだもの)とセットということにして、すごく安く売ってくれた。
「外国人でしょ?」とにこにこして言う店の男の子から飲み物を受け取りながら、台南に来たんだな〜、と実感が沸く。

台南駅に夫の友人であるLさんカップルが車で迎えに来てくれた。マンゴー農家のLさんの実家でマンゴー狩りをするのが今回の旅の目的だ。Lさんの実家のある玉井は「マンゴーの故郷」というキャッチコピーにふさわしく、白い袋に包まれたマンゴーのなる木が車窓から何本も見えた。
Lさんの家に着くと、お昼ご飯が用意されていた。日中は作業にならないほど暑いというので、私たちはLさんのお母さんの料理をごちそうになった。Lさんのお母さんの料理はどれもとてもおいしくて、お鍋の人参なんて私と夫とMとで取り合って食べた。お昼ごはんの後、お母さんがLさんの家で採れたマンゴーでシャーベットを作ってくれた。シャーベットの中にはごろごろ生のマンゴーが入っていた。おいしさに感激し、スプーンを持つ手が止まらなかった。

午後2時を回り、ようやくマンゴー畑に作業に行くことになった。暑さと蚊にやられないために、長袖と帽子を着用し、マンゴー畑に向かった。マンゴーの採り方を教わり、さあ、採るぞ、と畑に入ると、雨が降り始めた。大粒の雨が次々に降り、予備の着替えを持ってきていない私と夫とMは車で雨宿りをせざるをえなかった。「一個しか採ってない」とMは地団太を踏んでいたが、私と夫にいたってはマンゴーに触れてすらいない。

雨が小ぶりになり、やっと数個狩ったと思ったら、今日の収穫は終了した。道がぬかるんでいるため、あまり狩ると車が重くて坂道を登ることができないらしい。
一体私たちは何をしに行ったのか。ろくに手伝うこともできず、ただただ昼食とデザートをごちそうになりに行っただけではないか…。
申し訳ないと思う私たちに、Lさんのお父さんは大量のマンゴーをお土産に持たせてくれた。
来年はマンゴーの袋がけ作業を手伝いに来る約束をして、私たちはL家を後にした。