台風17号

台風17号が台湾直撃で、今週の火曜水曜は2日連続台風休みでした。やったー。だらだらしました。

休みの間に見た動画。
原一男のニコ生「CINEMA塾」#006ゲスト:橋口亮輔監督

2時間くらいあるんですが、素晴らしい内容でした。
橋口監督ファンは観て損はないと思います。

昨年公開の『恋人たち』の話から、自主制作映画を撮られていた時代まで原監督が細かく聞かれています。

このCINEMA塾内の冒頭、原監督が橋口監督に対して10の質問をしました。

ー自分の作品の中でどの作品が最高傑作だと思いますか。

この質問に『渚のシンドバッド』と答えられていたのが印象的でした。
 原監督が意外ですねという反応をすると、
 世間では『恋人たち』だが、『渚のシンドバッド』。とても美しい映画だと思います。とおっしゃっていました。

『恋人たち』について「橋口監督の最高傑作」だという評価をよく目にしたのですが、私はそれについて不満を感じていたので、この答えは個人的に嬉しかったです。

橋口監督の作品は過去の作品どれをとっても素晴らしいと思います。『恋人たち』ももちろん素晴らしかったし、監督の代表作だといえる一本だということは私も同意します。
しかし、この作品を「最高傑作」だといってしまうと、今後『恋人たち』以上の作品はでてこないということになる。
そんなことはないと思う。次回作があるのならば、その作品が前作以上である可能性のある、橋口監督はそういう監督だと思います。

ー自分は世界の中でもトップクラスの映画監督だと思うか。
 世界ではそうだと思わないが、日本だといい線行っている。日本ではトップクラスだと思う。

一つ目の質問に対するこの答えも嬉しかった。
現在の日本の映画監督で、橋口監督が一番好きなので、監督がトップクラスの監督だと自負していることが嬉しかったです。

それから、ワークショップでの話も印象的でした。
引きこもりの男の子が参加して、四日間のワークショップの中でその男の子が変わっていく瞬間の話。

橋口監督はこの男の子は自分を変えたくてこのワークショップに参加したんだと思って、自分がよく聴いていた曲の歌詞を紙に書いて、他のワークショップ参加者の前でその音の子に大きな声で読ませたのだそう。
最初は蚊のなくような声しか出なかった男の子に一時間くらいつきっきりで声を出させたんだそうです。

その男の子がエチュードの最後に相手役の女性の手を握って、そのときに相手役の女性(『恋人たち』の主演のひとり成嶋瞳子)がほんとうに小さな声で「ああよかった」と言ったのだそう。
橋口監督「成嶋さんのああよかったが僕にとってはとても美しかった」。

この男の子がエチュード(好きな女の子とマザー牧場でデートするという設定)の最中にまったく何もしなくて、相手役の女性と二人で座っているだけで、いつカットを出そうかと思いながら監督は5分位観ていたとおっしゃっていて、5分も待ったのか〜、とびっくりしました。

一時間かけて声を出させたり、動きのない中で5分待ったり、こういうことができる人だからこそ、毎回素晴らしい映画を撮ることができるのだなあ、と唸ってしまいました。

他にも色々な話をされていて、とてもおもしろかったです。

『恋人たち』

橋口監督がどん底の中で聴いて号泣し、引きこもりの男の子に歌詞を読ませたという歌。